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アイアムサム

by 岩瀬敬吾

札幌から帰宅し、夜長はおもむろにAmazonでビデオを頬張っている。
大阪から札幌に渡り3つのイベントとひとつの
スピリチュアルラウンジでの演奏を終了し
ご褒美にと洞爺湖でBBQを心許す友人と交わした。
雨の翌日に賑やかにカーステからお気に入りの曲を途切れ途切れに
聞いていると昔のことをよく思い出してしまい
そこで今の、ビデオあさりにつながっているわけだ。
寝る間も惜しんで観た中にショーンペン演じるサムのドラマを
描いた「アイアムサム」がある。
そのことを少し話したくてここに書こうと思う。
解散して間もない2002年のある日この映画は公開された。
時は少し遡り、解散を発表する少し前のこと、
すでにラジオのレギュラーも生放送と収録を交互に
放送し始めた頃で僕にはほんの少し時間があった。
そこでアメリカに住む友人を頼りLAへと渡った。
大胆に移動したもんだが持ち前のケチが災いしそんなに
快適な渡航ではなかったがLAでは友人の笑顔と嗅いだこともない
なんだか垢抜けた磯の香りに包まれて舞い上がっていた。
友人の乗るボロいPOLOからはデビューしたてのストロークスに
チャートを賑わしていたピンクや、その頃アメリカで公開されて
間もないアイアムサムのサウンドトラックからビートルズの
カヴァーナンバーが代わる代わる流れていた。
ロスではタワレコが潰れてしまうという話で持ちきりだったが
配信とはなんなんだと、色々謎の言葉を抱えつつも
CD屋に行きアイアムサムのサントラとストロークス、
そしてデビューしたてのコールドプレイのCDの代金を
支払い店を出た。
日本に戻ると解散の話はもうすでに世の中に流れており
自分たちのこの先のことを考え始めることに時間を費やし
そして終わりを見据えていた。
僕は世話になったビクターからは距離を置き
家の修繕に半年かけながら時間の流れを取り戻そうとしていた。
最中にアイアムサムは公開され、何度も映画館に足を運んだ。
それほどのめり込む映画だった。
好みにとやかく言われたくないのであれこれ言わないで欲しい。
ただこのころの僕の心情にとてもよくハマったのだ。
サムがルーシーの養父母先の女性にいう「ルーシーがかく
赤い色は君の色だよ」というニュアンスのセリフ。
世界は色で包まれている。
人も色で表現するとこんなに華やかな気持ちになるのだと
そう教えられた。
そこで書いた「繰り返すは口癖と罪悪感」の中にある言葉、
「椅子の色には、今のシャツとつながっているようにと
居ても居ないと 居なくてもいいと 言われた元になってる」
とまあ意味不明な世界の扉を大きく開ける切っ掛けとなった。
色は必ず皆にあるものだ。
それは誰かと比べるものではない。
濃かろうが薄かろうがその人の価値を左右させる要因に一ミリにも
ならない。
どうも個性というものをお金で買い揃え着飾り惑わすものと
勘違いしている人が多いが誰の目にも留まることなく
終わる色もある。その個性に目を向けない人生も悲しい。
若い時の話は面白おかしく話し人生は人目を避け転がるものではないと
悟る行為なんだと酔っ払って話すその無意味さにこそ
意味があると思ったり、する。
映画はいい。
あのころを思い出させてくれる。
今も変わらないということも再認識させてくれる。
あの時見た空の色より今見る色の方が好きだと
そう強く言えるのは出逢いと別れのお陰だろう。
死んだ君。生きてる君。ありがとう。
死んだように生きている君、また色を見せてくれ。
心は浮雲のようだ。
どこまでも行ける。
そして儚い。




岩瀬敬吾
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